公演レポート

11月9日(日)「みんなでボレロ~ダンスで音を描こう!~」

11月9日(日)みんなでボレロ~ダンスで音を描こう~を開催しました

講師:神田佳子、稲田奈緒美(桜美林大学 芸術文化学群 教授)
打楽器アシスタント:若鍋久美子、戸崎可梨、石﨑元弥、亀井博子
ダンスアシスタント:田中来夢、市ノ澤直希

参加者:一般公募による小学生~高校生 10名(サポートの本学演劇ダンス専修学生2名含む)

ダン、ダダダダン、ダダダ ダダダ ダダダ ダン、…
皆さん、どこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ラヴェル作曲の『ボレロ』は、一定のリズムを刻みながらだんだんと楽器が増え、音が大きくなっていき最後大盛り上がりで締めくくるバレエ音楽の傑作です。

マリンバやビブラフォンなど、プロの打楽器奏者が演奏するこの『ボレロ』にあわせてリズムを刻んだり、思い思いの動きをダンスで表現するこの日だけの『ボレロ』をつくるワークショップを開催しました。
打楽器の振動や音の大きさ、一定のリズムを刻む曲の構成や特徴から、今回は耳が聴こえない、聴こえにくい方にも参加してもらえるようなワークショップとして開催。
市内の学校、手話の活動をしている団体さんなどにお声掛けをして、補聴器を使用しているお子様も参加してくれました。

先ずは、講師陣によるお手本のパフォーマンスを観てもらいます。

ボレロの曲の特徴や、動いてもらう範囲などを伝えるための演奏でしたが、あまりのクオリティの高さに子どもたちはぽかーんとしている様子でした(笑)。

それでも、打楽器を実際に鳴らしてみたり、講師と一緒にぶらぶらと揺れてみたりしているうちに、リズムにのったり体を動かすことのワクワク感がだんだんとわかってきたよう。
主にパーカッションで使用するマラカスやカエルの形をしたギロ(ギザギザの凹凸を木の棒でなぞって音を出す楽器)を使用してリズムをつくるリズム隊、音楽の強弱や音律から、どう感じたかを身体で表現してみるダンス隊の2つに分かれてワークショップが始まりました。

子どもたちが何を面白いと感じるのか、どこに子どもたちのスイッチがあるのかを、丁寧に対話をしながらも表現することの自由さ、楽しさを講師陣が伝えると、子どもたちからもどんどんとアイディアが湧いてきます。

ボレロの曲をいくつかの場面に分けて特徴を表す動きを引き出していくのですが、
例えば。。
「かえるがぴょん!とはねるときみたいに、ピーン!ってする」
「ここでゴリラをつかまえる!」などなど。
子どもたちからは、自由で、「???」と思うようなワードもたくさん飛び出してくるのですが、みんなでアイディアを拾いながらかたちにしていきます。

「そうだね!じゃあ、このわあっと盛り上がる場面で、みんなで跳ねて向きを変えてみるのはどう?」
「その動き面白いね!どの場面で入れると良さそう?もっと手足を大きくうごかしてみる?」
といった具合に、みんなで『ボレロ』の曲を分解しながら、組み立てていく時間が続きます。

途中でリズム隊とダンス隊が合流して、音楽に合わせながらお互いのワークの成果を合わせてみると。。

最初と最後の場面を中心に、かなり完成に近いかたちが出来上がってきました!!

みんな朝の10時から動いたり考えたりはしゃいだりで、中にはかなりお疲れモードの子もいましたが、お昼を食べて一度リフレッシュ。お昼休憩が終わる前に、「早く(会場に)もどりたい」などみんなのやる気がほとばしり、最後の追い込みをします。

照明の演出も入り、練習通りにできるかどきどきしながら本番を迎えましたが、結果は大成功!!
親御さんや会場のお客様からも大きな拍手をもらい、子どもたちの照れくさそうな、とても嬉しそうなカーテンコールで幕を閉じました。

今回のワークショップは、親御さんや近隣の方に頑張った成果を見てもらう、成果発表としてのパフォーマンスを目標に子どもたちに頑張ってもらいました。子どもたちは、発表会に向けて「どんなことをがんばったか」「どこに注目してほしいか」を発表会の始まりでご挨拶。

ところどころで耳が聴こえにくい子が年下の参加者の子に「今、進むところだよ」と教えてあげたり、年長の参加者が率先してお手本を見せてくれたりと、耳が聴こえる子も聴こえにくい子も積極的に参加してくれました。
思い通りにいかないことやわからないこともたくさんあったと思いますが、今日の経験が今後子どもたちが直面する困難な場面で、一歩進める原動力となってくれたらと感じるような、パワーがみなぎる今日限りの『ボレロ』でした。

今回の実施にあたり、近隣のライシャワー学園に難聴の子どもたちの様子を伺ったり、補聴援助システムについてご教示をいただいたり機器を貸与くださるなど、多大なご協力をいただきました。
また、ご来場くださった方、まちだ手話サークルの皆様にも子どもたちの成果を見守っていただき、様々な背景をお持ちの皆さんと一緒に芸術文化を楽しむ場をつくる貴重な一歩を踏み出せた事業となりました。
ご来場いただいた皆様、関心をお寄せくださったみなさま、ありがとうございました!!

公演写真:©香川 賢志 ©中村 香菜子

 

主催:学校法人桜美林学園
助成:アーツカウンシル東京[芸術文化による社会支援助成]

<アンケートより抜粋※原文ママ>

・成果発表を参加児の家族だけでなくコミュニティにも共有するという視点が素晴らしい

・初めてでしたが、よく頑張ったと思います。“聴こえづらさ”があってもこのような場で、音を楽しみ、多くの方々と出会い表現することの楽しさをたっぷり味わいました。この貴重な経験が大きな刺激となってきっと、いろんなことにどんどんチャレンジしていけるきっかけになると思います。本物の楽器、プロフェッショナルな先生や演者の方々とすばらしいホールで最高の一日を過ごせて本当にうれしく感謝しています。ありがとうございました。

・子どもが一流の演奏家、ダンサーと一緒に体で体験しながら最後にお客さんの前で発表するまでをサポートいただける企画内容がまずすばらしく、子どもたちの楽しむ姿間近でみることができたことにとても感動しました。すてきな企画をありがとうございます。

・小学校では味わえない舞台、作品で期待以上でした!成果発表があることが練習するモチベーションにつながったように感じました。今日4時間でこんなに素敵な作品を作り上げて、とても驚きました。子どもたちも大きいお兄さんお姉さんも先生方も体いっぱい使って表現力豊かで、鑑賞していてワクワクして楽しかったです。ありがとうございました。また参加したいです。

・普段おつきあいがある高齢のろう者の方たちは音楽には拒否反応をおぼえる方も多く、今回の企画をお聞きして聞こえない、聞こえにく子どもをとりまく環境が昔に比べて大きく変化してきている、もしくは変化していく可能性が広がっていることを感じ、興味を持って参加させていただきました。これからどんな可能性が子どもたちの前にひらけてゆくのか楽しみです。聞こえる子たちと共に楽しめる場がどんどんできていくといいですね。

桜美林芸術文化ホールでは、豊かな音響で本格的な演奏を堪能できるプロビデンスホール、演劇やパフォーマンスなどを楽しめるストーンズホールと、2つのホールでさまざまな芸術文化に触れるイベントを開催します。今後の開催にぜひご注目ください。

 

<チケット発売中の公演はコチラ>

◆ひなたやま狂言会
11月29日(土)14:00開演(13:30受付・開場)
チケット:一般2,000円 学生(6歳から25歳)1,000円
会場:ストーンズホール

◆ひなたやまクリスマスコンサート
12月7日(日)14:00開演(13:00受付・開場)
チケット:小学生以上500円 未就学児入場無料
会場:プロビデンスホール

◆ひなたやまワークショップDAY!
12月20日(土)9:30開場(13:30入場締め切り)
チケット:小学生以上500円 未就学児入場無料 会場:全館

  • 10:00~みんなで大きな窓に絵を描こう!
  • 11:00~12:00 能ことはじめ 『羽衣』ワークショップ
  • 12:15~/13:00~ 小鼓たたいてみよう!
  • 14:00開演(13:30開場)人形劇『稲むらの火』と防災について考えるおまけタイム

※入場される方すべてのお申し込みが必要です。
※各ワークショップの定員に達し次第受付終了

◆今後のイベントスケジュール◆

詳細はこちらをご覧ください

一覧に戻る