公演レポート

12月15日(日)『岡田利規ショーケース』

【「岡田利規ショーケース」を開催しました!】

本年度は、「普段、図書館へは行くが、演劇は観ない方」をプロトタイプに演劇鑑賞を勧める「演劇のすすめ―シェイクスピア・カフカ・岡田利規」3回公演を企画し、その最終回が、現代演劇を勧める「岡田利規ショーケース」でした。

現代演劇を観たことが無い人や、観ても理解できなかった現代演劇を苦手に感じている人で、普段はバレエやダンス、音楽に興味を持っている人たちを引き付けようと、酒井はなさんと岡田さんが取り組んで以前上演した、『瀕死の白鳥』の白鳥の死因に迫り、バレエの様式を解体し創作した新解釈バージョン『瀕死の白鳥 その死の真相』を第1部で再演しました。第2部ではちょうど岡田さんはダンス作品や音楽劇を公開されたばかりなので、それらに関するトークに重きを置いてみようと計画し、では、何を話そうか???と関係者で頭を悩ませました。

ありきたりなアフタートークではなく、客席の若き演劇人たちに気づきになるような話を岡田さんから引き出せると良いな?若い人代表?岡田さんの作品を知っていて、岡田さんもその若手の人を知っていて、尚且つ話を引き出せる人はだれか??と考え、満場一致で範宙遊泳のプロデューサー坂本ももさんの名前が上がりました。

またご快諾いただいた坂本さんからは、その内容なら客席に多くの学生が集うように働きかけましょう!と背中を押され、都内の大学で演劇に関わる先生方にご協力を賜りました。少数ながら学生の来場もあり、「岡田利規」をあまり知らないお客様が一堂に会してくださいました(もちろん、岡田利規を知る方々も)。

第2部で岡田さんの口から紡ぎだされた幾つもの言葉が学生たちの胸にグサッと刺さったそうです(案内業務や舞台技術の学生アルバイトたちから聞いた話)。トーク内容を以下に少しご披露します。
〇古典は今を生きる私たちにとって大事で、古典を観て考えたり、自分の意識が変わったりするのが良いと思う。だから服を着替えるようにいじっている。着替えたって、その人の本質は変わらない。ファッションは表面でしかない。表面も大事だけど中はもっと大事。

〇十分な経験やチャンスを僕はもらってきた。他の人もそういった経験が出来たら良いと思う。借りたものはその人に返すのではなく、次の世代に返すものだと思う。

〇観客を想定するプロトタイプが変わると、その人が創るものがかわっていく。僕は海外公演を経て観客のプロトタイプが自分自身だったところからから離れていった。

第1部:2021年に愛知県芸術劇場で初演された「ダンスの系譜学」より
フォーキン原作『瀕死の白鳥』『瀕死の白鳥 その死の真相』
出演:酒井はな・四家卯大(チェロ)

 

第2部:トークイベント 岡田利規×坂本もも
出演:岡田利規(演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)
坂本もも(範宙遊泳代表・プロデューサー/ロロ制作)

<アンケートより以下抜粋> *原文ママ
〇公演ももちろんのこと、坂本さんの絶妙な質問で、トークもめずらしい話が多く、とても面白かったです。

〇すごく面白かったです。私は演劇をやっている大学1年生なのですが、酒井はなさんのセリフを言いながらバレエをするワークショップ参加したいです。ぜひ開いてほしいです。

〇今回のステージは、テレビでみるバレエとは全く異なり、とても興味深かったです。今後も岡田利規さんに注目していきたいと思います。

〇バレエという身体表現から、ことばを用いた新しいバレエをみさせていただき、比較して全く異なる感覚を覚えました。美しさの融合の芸術から少し柔らかく、おもしろみのある作品へと変化する二面性がおもしろかったです。大学で演劇を学んでいる身なので、次世代に求められるものを岡田さんの視点でうかがうことができたのも貴重な経験になりました。

〇冒頭のあいさつでも、おっしゃっていましたが、現代芸術とはわかりにくいというイメージがありましたが、とても分かりやすかったです。トークショーは、たくさん気づきがありました。岡田さんはいい仲間がたくさんいらっしゃいますね。

〇とても近くで、瀕死の白鳥を拝見できて感激でした。トークも演出家の視点をお伺いできて興味深かったです。

 

Photo   ©おおたこうじ

一覧に戻る