公演レポート

8月17日(土)「見えない人と絵を見るためのワークショップ」「浮世絵プレレクチャー」

8月17日にワークショップや講演会を開催しました。今回の版画展は、視覚障がい者の方と繋がっていこうという試みの一環です。浮世絵版画は絵師、彫師、摺師の職人が連携して作品をつくります。人の手から手に渡った作品を皆さんの手にお届けし、手の感触や周りの人から得る会話から、誰もが美術を鑑賞出来たらと企画しました。

昨日は、午前中に浮世絵版画を使った対話型鑑賞のワークショップを開催しました。

講師の三ツ木紀英さん(NPO法人ARDA代表理事)は、対話で美術鑑賞する『アーツ×ダイアローグ』などのアートを介したコミュニケーションの作り手の育成に力を入れています。

今回は「見えない人と絵を見るためのワークショップ」と題しまして、2時間のプログラムを実践していただきました。マスクで目隠し(これは視覚障がい者の方に教えていただきました)をした人に作品について感じたこと、考えたことを伝えていくワークでは1枚の絵からこんなにも様々な発想が生まれるのかと聞いていて面白かったです。晴眼者同士での対話で絵を見る鑑賞よりも「伝えよう」とする気持ちが前面に出てくる熱量がありました。

 

午後は、今回の浮世絵版画展に力を貸してくださった、安政年間から続く高橋工房の六代目版元・高橋由貴子さんに浮世絵版画についてのレクチャーをしていただきました。制作工程はもちろんのこと、職人がどのような技術をもって制作するのかとても興味深いお話をたくさんしてくださいました。熱心な参加者からはたくさんの質問が投げかけられ、多くのことを知っていく参加者の皆さんの笑顔がどんどん増していく様子が素敵でした。

高橋さんから「浮世絵版画は見るとは言わず、『読む』と言います。」というお言葉に思わずハッとしました。絵師や彫師、摺師の思いやメッセージを受け取るのは、どこか対話で美術鑑賞をする行為にも似ていて、「絵を見る」とはどういうことなのか改めて考えさせられました。

 

是非、皆様も「触れる浮世絵版画展」にお越しになり浮世絵版画を読んでみてください。

8月24日(土)まで10時から16時に開催しています。予約不要、無料です。

桜美林芸術文化ホールへは町田駅のバスセンター4番、5番乗場から「山崎団地行き」または「山崎団地センター行」のバスに乗り、「山崎団地センター」下車です。

バスを降りたらバスの進行方向の坂を上ります。右の方に桜美林大学のレンガの建物が見えます。敷地右奥のコンクリート造の建物が会場になります。

お気をつけてお越しください。

 

以下、アンケートより抜粋です。

<見えない人と絵を見るためのワークショップ>

〇たいへん勉強になりました。貴重な体験をさせていただいて感謝しています。

〇見えない人につい「説明」をたくさんしてしまいがちですが、自分が目隠しをして印象や雰囲気(みえないこと)をきいたとたんに絵を「把握する」から「味わう」という体験に変わったのが、とても興味深かったです。説明の仕方でこんなに変わるということを知れてよかったです。

〇実際に他人に絵を説明することで、じっくり絵と向き合えるのだと、また、より深く興味を持てるのだと思った。普段、美術にはあまり興味が無いのでとても良かった。何となく哲学対話にも見ていると思った。また、是非ワークショップ開いてください。

 

<浮世絵プレレクチャー>

〇目からウロコ的な内容でとてもよかったです。

〇作(創)り手の話は、思いもよらないことが分かって面白い!高橋さんの声も話し方も素敵でした。今を生きる伝統工芸師の活躍が聞けたのも良かったです。

〇色、形だけでなく、色のない部分の質感や模様まで手に取って楽しめるのは貴重な体験でした。知っていると思った絵に知らなかった部分がたくさんあることを知れて、とても面白かったです。

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