公演レポート

1月11日(日)『パイプオルガンとチェロによるNew Year Concert』

1月11日(日)、桜美林芸術文化ホールのプロビデンスホールにて、パイプオルガンとチェロのコンサートを開催しました。

出演:山田由希子(パイプオルガン) 阪田宏彰(チェロ)

桜美林芸術文化ホールには、プロビデンス(音楽ホール)とストーンズ(多目的ホール)の二つのホールがあります。音楽ホールとして学生が授業でも使用しているプロビデンスには、町田にある工房「マナ・オルゲルバウ」により制作されたパイプオルガンがあり、その姿をみたお客様から、「パイプオルガンのコンサートが聴きたい!」とのお声をたくさんいただいていました。当館専属オルガニストの山田先生とご相談し、プロビデンスホールの音響の豊かさを存分に味わっていただけるパイプオルガンとチェロのコンサートを開催。

オーケストラのように華やかな音を奏でるパイプオルガンと、歌心たっぷりのチェロの響きを存分にお楽しみいただきました。

コンサートの幕開けは、オルガンのソロで、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼー「《アルルの女》より ファランドール」の演奏です。手元の2段の鍵盤では絶え間なく細かなパッセージが綴られ、足元のペダルでは体の芯を震わせるような低音を響かせるその演奏は、演奏者が一人とは思えないほど重厚感があり、映画館で映画を見ているかのようにリアルに、近くに感じる音圧に圧倒されます。

続いてモーリス・ラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」。ピアノ曲をラヴェル自身がオーケストラ用に編曲したバージョンをイメージされた演奏とのことで、精緻な作曲家として知られるラヴェルの、フルートやオーボエを想起させる何層もの音の重なりが美しい1曲でした。

ここで、山田先生から楽器の紹介がありました。

当館のパイプオルガンは、町田にある世界有数のパイプオルガンの工房マナ・オルゲルバウにより制作されたもので、高い音程は細く、低い音程は太く長く、1788本ものパイプがあります。オルガン左右にはストップと呼ばれる29個のボタンがあり、予め音色の組み合わせをプログラミングし、ストップを操作することで音をつくっているとのこと。

「水面では優雅に泳いでいる白鳥のように、水面下では結構大変な楽器です」と山田先生も紹介されていましたが、優雅な音色とは裏腹に、アスリートのように全身を駆使するだけでなく、プログラマーのように音色をつくり、使い分ける操作も行うパイプオルガン奏者の卓越した演奏技術の秘密を知る貴重なお話でした。

 

続いてはチェロの阪田先生とのアンサンブルで、J.S.バッハ:「G線上のアリア」、サン=サーンス:「《動物の謝肉祭》より 白鳥」の演奏です。誰もが一度は耳にしたことのある旋律ですが、「ずっと聴いていたい」とのお声をアンケートでたくさんいただくほど、たおやかで甘いアンサンブルはまさに至福の時間。聞きなじみのある曲も新鮮な響きでお楽しみいただけたようです。続けて、クレイグ・フィリップス:「無言歌」という、オルガニストが作曲した現代曲を。パイプオルガンとチェロのアンサンブルの魅力があふれた素敵な演奏に、涙するほど。眠っていた穏やかな心と、平穏の幸せを呼び起こしてくれるような、とてもとても美しい曲でした。初めての曲との出会いは、幸せをもたらしてくれるものですね。

前半を締めくくるのはオルガン曲の最高峰の一つといわれる、ヨハン・セバスティアン・バッハ:「前奏曲とフーガ ホ短調BWV548」です。音楽の父と呼ばれ、生涯作曲した数は1000曲以上とも言われるJ.S.バッハ。荘厳で圧倒的な音が降り注いでくる演奏は圧巻のひとこと。パイプオルガンの醍醐味を味わいました。

後半の始まりもJ.S.バッハから。最高傑作とも評される「トッカータとフーガ ニ短調BWV565」は、印象的なフレーズを知らない人はいないのでは?と思うほど有名ですが、パイプオルガンの生演奏で全曲聴いたことがあるという人は意外と少ないのではないでしょうか。名曲たる所以がわかる魂のこもった演奏に続き、J.S.バッハ:「フーガ ト短調 BWV578」、ルイ・ヴィエルヌ:「幻想的小品集 組曲第2番Op.53より 第3曲 太陽への賛歌」とオルガンソロが2曲続きます。

冒頭で山田先生からパイプオルガンについて説明いただいていた可愛らしい仕掛けが、ここで登場!みなさん、お気づきになりましたか?

その後ガブリエル・フォーレ:「シシリエンヌ」、アストル・ピアソラ:「アヴェ・マリア」と阪田先生が再登場し、お二人の楽しいMCも披露。普段から一緒に演奏されているので息もピッタリ!

コミカルなお話しぶりとは対照的に、美しい旋律を奏でるチェロとの響きをただただ堪能しました。

後半の締めくくりは、ジョナサン・スコット:「カルメン幻想曲(G.ビゼー作曲オペラ「カルメン」のテーマに基づく)」で華やかに。パイプオルガンの懐の深さや貫禄を感じさせる壮大な一曲、当館のパイプオルガンを知り尽くした山田先生だからこその秘密の仕掛けがここにも!鳥の鳴き声を表す音色、皆さん聴こえましたでしょうか。

オペラの傑作カルメンの世界をパイプオルガンで描き出す、珠玉のプログラムでした。

本編終了後には、アンコールで再び阪田先生がご登場!J.S.バッハの「アリオーソ」の演奏をお届けしてチェロとの響きを最後にもう一度味わっていただき、ニューイヤーコンサートは幕を閉じました。

パイプオルガンの荘厳さや楽器の魅力に加えて、チェロとのアンサンブルによる優雅で澄んだ響きをお楽しみいただいたコンサート。

新年早々の演奏会でしたが、満席近いお客様にご来場いただき、たくさんの方と新たな年をお迎えできたことが当館にとっても大変嬉しい一年の幕開けとなりました。

ご来場いただいた方、関心をお寄せいただいた方、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました!

 

公演写真:©おおたこうじ

 

<アンケートより抜粋※原文ママ>

・よく知られた曲からめずらしい曲まで、幅広い曲目でオルガンの持つ音色の多彩さ、表現力の豊かさを味わえたコンサートでした。また、チェロとの共演もユニークな組み合わせでよく聴く曲でも新鮮な印象をもって聴くことができました。今後もオルガンと弦楽器、歌などの組み合わせでのコンサートを企画して頂ければと思います

・パイプオルガンの音色に強さとやわらかさがあって引き込まれました。実際に拝見したパイプオルガンは構造がとても複雑でしたが、先生方の説明で興味がわきました。手足を使っての演奏は器用さを求められるものなのかなと思いました。チェロの繊細な音に寄り添うかのような印象があり、とても優しい気分になれました。チェロの音色もずっと聴いていたい気分になりました。このような機会を与えてくださりとてもうれしかったです。ありがとうございました。

・パイプオルガンの音色を生できくことがいままでなかったのでとても良い経験となりました。知っている曲も多く楽しむことができました。町田にもこの素敵な楽器をつくれるところがあるのは驚きでした。また機会があれば生の演奏を聴いてみたいです

・パイプオルガンが好きで聴きに来たのですがチェロとのアンサンブルとてもとても素晴らしかったです。心が洗われるようで、明日からまた頑張ります

・チェロとの音色がとっても良く調和されていて素晴らしい演奏でした。せひまた聴きたいです。ニューイヤーコンサートにふさわしい音楽を今日は聴けて幸せな気分で一年を過ごせます、ありがとう!!

 

桜美林芸術文化ホールでは、豊かな音響で本格的な演奏を堪能できるプロビデンスホール、演劇やパフォーマンスなどを楽しめるストーンズホールと、2つのホールでさまざまな芸術文化に触れるイベントを開催します。今後の開催にぜひご注目ください。

 

<チケット発売中の公演はコチラ>

◆バロックのすゝめ~見て、聴いて、知って楽しむバロックの世界~

2月21日(土)11:30開演(11:00受付・開場)

チケット:小学生以上 500円 ドリンクチケット付き

(Coffee Stand 88+ ドリンクチケット対象のお飲み物) 

会場:交流プラザ

 

◆イタリアバロックとテンペラ画の甘美な世界

4月12日(日)14:00開演(13:15受付・開場)

チケット:一般2,000円/学生(6-25歳)1,000円※未就学児入場不可

会場:プロビデンスホール

 

◆今後のイベントスケジュール◆

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